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あたまにつまった石ころが


切手にコイン、人形やジュースのびんのふた。
みなさんも集めたこと、ありませんか?
わたしの父は子どものころ、石を集めていました。
ひまを見つけては、石垣のまわりや古い採石場をさがして歩きました。
まわりの人たちはいったそうです。
「あいつは、ポケットにもあたまのなかにも
 石ころがつまっているのさ」
たしかにそうかもしれません。

          ープロローグよりー

 

キャロル・オーティス・ハースト 文 ジェイムズ・スティーブンソン 絵
千葉茂樹 訳 光村教育図書 1470円


この絵本は、石ころ集めが大好きだったお父さんの話を、
おとなになり、子どもの本の作家になった作者が語った、ノンフィクションです。


石ころ、昆虫、電車、工作、絵画、星、映画・・・
「あんたは、勉強もそれくらい一生懸命やってくれたらねえ」
なんて言われながら、夢中になっていた時期は、多くの人にありますよね。

大きくなるにつれ、興味の枝は多方向に伸びていき、
もちろん、そうして、春には花を夏には緑をつけ、小鳥がとびかう・・
そんな木もすてきです。

でも、中には、竹のようにまっすぐに、スーッと伸びたままの人もいるのです。

この、お父さんのような。


あたまにつめた石ころを、手放すことなく、
だからお金儲けや身の丈以上の成功がはいる隙間はなく、
どんな時代でも、おだやかでマイペースな表情のままでいられる、お父さん。

作者の語り口から、そのことがもたらして、
家族の平穏でささやかな幸せも、伝わってきます。

そして、その先にあった、とても大きな・・・

道は、どこにでも、つながっていて、
歩いて行ったほうに、辿り着くのですよね。

・   ・   ・

一編の良質なドキュメンタリー映画のような、
静かで深い感動が残る、絵本です。

一度、手放した石ころを、忘れられないおとなには
ふたたび手を伸ばすきっかけを

手放すべきか迷っている若者には、大きな可能性を

そして、なにより、
夢中になるものと、夢中であり続ける才能に恵まれた人たちに、
そのまま突き進んでいく力をくれます。

たとえ、いつかは手放す日がきてしまうにしても。

人からみたら、価値のないことに見えるかもしれないけどね・・・