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九月姫とウグイス


サマセット・モームの唯一の童話に
武井武雄氏が絵を描いています。

だれでしょう、
こんなすてきな組み合わせを
思いついた人は・・・


この物語の主人公が、
八月でも十月でもなく、「九月」姫というのは、
たまさかではないと、思います。

急に涼しく、静かになり、
にぎやかな空気にシャカシャカとかき混ぜられて
ちいさな泡になっていた心奥が、
ゆっくりと底に重なり、意識せずにいられない、初秋。

そんな夜に、ひらきたい1冊です。


わたしは、おとなになって、出会ったものがたりだけど、
子ども時代に出会って、もし惹かれることができたら、
とてもすてきです。

その効果は、きっと、何十年後かに、あらわれるのでしょう。

うつくしさって、そういうものですもの。



サマセット・モーム 作 武井武雄 絵
光吉夏弥 訳 岩波書店 945円


シャム(今のタイ国)の、いちばん末のお姫さま
九月姫は、素直な、やさしいかたでした。

けれど、九月姫の、8人のお姉さんたちは、ちがいました。

お姫さまが生まれるたびに、
王さまが名前を付け直したのです。

ふたりのときは、「昼」と「夜」
4人のときは、四季
7人のときは、曜日
そして、月に、というように。

そんなにころころと名前を変えられたものだから、
すっかりひねくれた性格になってしまったのでした。


ある年の、王さまのお誕生日のこと。

王さまは、9人のお姫さまたちに、
めいめい名前の書かれたきれいな金色のかごにはいった
緑色のオウムをお与えになりました。

お姫さまたちは、たいそうかわいがりましたが、
ある日、九月姫のオウムだけ、死んでしまいます。

その晩、かなしみにくれる九月姫のもとへ、
一羽の小鳥がやってきて、美しい声でうたいます。
小鳥を大好きになったお姫さまは、
お姉さんたちにそそのかされて、ずっとそばにいるために
小さなかごに、いれてしまいました。

空が恋しい小鳥は、だんだん、元気がなくなり・・・


うっとりするほどの美しさと、まっすぐ語られる真実、
そして、にやりとせずにはいられない風刺的な可笑しさが、絶妙に混じり合い、
えも言われぬ1冊の本になっています。

夜にみる夢のように脆い物語の断片が忘れられず、
何度も読み返すことになる、不思議な味わいの物語です。

そして、きっと、
空気の澄んだ、気持ちのいい夜には、
自然に、窓をあけてしまうでしょう・・ネ。




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