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満月をまって


100年以上前のアメリカで、
かごをつくって暮らしていた人たちの、おはなしです。



メアリー・リン・レイ 文 バーバラ・クーニー 絵
掛川恭子 訳 あすなろ書房 1470円


主人公で語り手の8才の少年と、その両親
あとは、たったふたりのかご職人が住んでいるだけの
小さな山間の集落。

そこで暮らす人たちはつつましく、勤勉な生活を営み、
少年は当たり前のように、父の背中に憧れを抱きます。

無口で、もくもくとかごを作る
太い指のおとなたちが少年に教えるのは、
自分たちの姿をよくみることと、
山の木の声をよく聞くこと。

少年は、その教えを守りながら
父さんがかごを売りに一緒に町に連れて行ってくれる日を、
一人前と認めてくれる日を、
まって、まって、まっていました。

けれど、ようやくやってきたその日に、待ち受けていたのは・・・


どっしりと変わらないものと、
少しずつ変化するもので、編み上げられた物語です。

変わらないものは、職人たちの信念や、自然が与えてくれるもの。

少しずつ変化するものは、たとえば時。季節。
それから、少年のこころ。

物語は、職人のつくるかごと同様、飾り気がなく、
時間をかけて、ゆっくり、ゆっくりと、味わいが深まります。

・     ・     ・

篤実な語り口と
おさえられた色調の絵が紡ぎだすのは、
地に足をつけ、自らのやれることやるべきことを仕事として生活することの尊さ。

その上で、誇りや満足はあとからついてくるということ。

労働の根幹にふれる思いです。


とても、目立たない絵本ですが、
本を手に取って表紙を見れば、そこにはもう物語が描かれていることに
気がつきます。

町の人にかご作りをバカにされ
一度は信じていたものが見えなくなってしまうものの、
他ではない、その信じていたものたちによって
進むべき道に導かれる少年のこころの動きは、
だれにでも覚えがあり、子どもたちにも響くはず。

静かな声にも耳を傾け、想像することは、とても大切なこと。

バーバラ・クーニーの、最後の作品です。

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