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にほんご


ーことばには いつも きもちが かくれている。

ーことばは からだの なかから わいてくる

ことばの使い方は、こころの使い方。
こころの豊かさは、ことばの豊かさ。


「にほんご」福音館書店


安野光雅、大岡信、谷川俊太郎、松井直
ことばの造形の深い4名によって作られた、
小学一年生の国語の教科書を想定した、ことばの本です。

わたし かずこ

ではじまる、すべてひらがなのこの本を、
おとなの人は、やさしすぎて読む気がしないと、言うかもしれません。

けれど、ひらがなのリズムでゆっくりと読み進めていくうちに、
こころが、その易しいことばの向こうー先へ、自分の内へ
広がっていくことに、気がつくと思います。

ことばの発展途上だった頃に、
気づいて、つながる、あの気持ちよさも。


ことばから、ものや気持ちがみえる。

ことばは想像、創造。
ことばは記憶。

「ことばって、すごい」
あらためて、おとながそう思うことが、
子どもたちにとって、なにより、大切だと思います。



詩の玉手箱


毎年、毎年、4月におすすめせずにはいられない本があります。

箱入りのソフトカバーで、
元気のいい配色の箱の中は、はかなげな少女の横顔。
裏は、おだやかな海。

中学生くらいからおとなまで、
贈りものにも、なかなか、意表をつくと思います。



「詩の玉手箱」
三木卓 編・解説 柚木沙弥郎 絵
いそっぷ社 1680円


なにしろ、「意表をつく51編の名詩」という、
かわった副題がついているのです。

詩人であり、作家であり、児童文学作家であり、
がまくんとかえるくんの訳者でもある、三木卓さんが
編んだ、選詩集です。

4月からはじまり、3月まで、ぐるり
それぞれの月ごとに4、5編ずつ、「意表をつく」詩が並び、
一編ごとに、三木さんの解説がはさまれます。

古今東西、詩人の顔ぶれも意表をつき、
選ばれた彼らの詩も、意表をつき・・・

その、意表をつかれた気持ちに、三木さんの解説がしみるのです。

知り合いを紹介するような、さっぱりとした口調の解説は、
詩人の横顔にふれ、言葉をひきよせ、近づく手助けをしてくれます。

なんだか、ちょっとしゃれた、教科書のような。

いい選詩集は、1冊の詩集であるだけでなく、
次への扉にも、なってくれます。


ふだん、どんなに本を読むのが早い人でも、
詩を、急いで読むことはできません。

呼吸をするようなリズムで、言葉と、向き合う。
なんども、吸って、はいて、吸って、はいて・・・

ゆっくりと、ひと月に、3、4編。
そんな、一年のたのしみかたをどうぞ。

エミリー


少女の引越してきた家のむかいには、
町の人が「なぞのひと」よぶ女性が、妹と一緒に住んでいました。

その人は、20年ちかくも、家のそとにでたことがなく、
知らない人がくると、たちまちどこかへ、かくれてしまうそうです。

そして、花が好きで、詩をかいているとか・・・


ある日、一通の手紙が、
少女の家のドアの、郵便の受け口から、投げ込まれました。

すぐに、ドアをあけてみましたが、
外にはただ、まっしろな冬がたたずんでいただけ。
そして、足あとが、少女の家の玄関から、
道をわたり、おむかいの黄色い家まで、続いていました。

手紙には、少女のお母さんに、
春をよぶピアノを弾きにきてほしいと、あります。

お母さんについて、黄色い家にはいった少女は、
ピアノの部屋をそっとぬけだし・・・



マイケル・ビダード 文 バーバラ・クーニー 絵
掛川恭子 訳 ほるぷ出版 1575円


人嫌いと言われたけれど、
子どもたちにはとてもやさしかったという、
詩人エミリー・ディキンソンと、かわいらしい少女の
小さな友情、こころの交流のものがたり。

そして、曇りのない目で世の中をみつめ、
たくさんのふしぎに、こころをふるわせる人たちのものがたり。

春をよぶ、ものがたり。


ー この世の中には、ふしぎななぞが、たくさん、あります。

この絵本は、そんな言葉で
しめくくられています。

そのなぞに気がつかなければ、
答えをみつけることも、できないのでしょう。
驚きやよろこびは、すべて、
なぞと答えの間にあるのかもしれません。

だれとも会いたがらない、ふしぎな隣人を想い、
かさかさで、死んでいるようにみえる球根の中にひそんでいる命や
あたたかくなると姿を現す美しい花をこころに描き、
小さな春のかけらをあつめながら、じっと待つ。

そんな、なぞと答えの間の中に。


私の船長さん


これは、飾り棚の小さな木彫りのお人形が
窓わくの上の船の置物を見下ろしながら(表紙の絵のように)
くる日もくる日も想いを馳せる、想像の恋の物語です。

片思いのおはなし。

胸がしめつけられるような・・でもなく
切なく焦がれるような・・でもなく
相手を想うだけで幸せな気持ちになれるような
穏やかな、片思いのおはなしです。



M.B.ゴフスタイン 作 谷川俊太郎 訳
ジーシープレス 1155円
  

  私たちには
  気にかけ帰りを待つひとがいる
  おだやかな航海を願いながら。

  そしてるすのあいだに
  起こったことはなんでも

  そのひとが帰ってきたときに
  話す価値のあることなのだ。


彼女は、夢見ます。

いつか、窓枠の船の船長さんが、
自分に会いにあがってきてくれるのではないかと。

そして、そこからはじまる、
ほがらかな時間を。


ゴフスタインの、静かであたたかな文章は、
恋だの愛だのにすっかり慣れてしまったこころを
謙虚な気持ちにもどしてくれます。

片思いが、いちばんいい、なんて言わないけれど。

恋は、キュートで、ユーモラス!

そうでなくちゃね。

にんじんケーキ


内気な奥さんと、
せっかちでおっちょこちょいの
ダンナさんのお話です。


ナニー・ホグローギアン 作 乾侑美子 訳
評論社 1365円

2匹のうさぎが結婚したとき、
これほどお似合いの夫婦は、うさぎの国じゅう探しても
見つからないだろう、といわれていました。

夢のような結婚式でした。

そして、ハネムーンからもどり、
しあわせいっぱいの新婚生活がはじまりました。

さっそくふたりは、
お互いをよく知るために、会話をはじめますが、
育ってきた環境も、性格も、まるで違うふたり
なかなか、うまくかみあいません。

どんどんズレていく会話に、
だんなさんは、次第にイライラ、イライラ。
だんなさんをよろこばせようと、一生懸命のおくさんも、
たまったものではありません。

ついに、堪忍袋の緒がきれたのは・・・


おくさんの、キレっぷりの、かわいいこと!

結婚している女の人たちと読むと、
拍手と笑いが、巻き起こります。


まったく違うふたりが一緒に生活するという、
その困難さを含めて、結婚の醍醐味だもの。

とんちんかんな可笑しい会話の間に、
一緒に過ごすことの本当のたのしさが
さらりと、かわいらしく描かれています。

落語のような展開に、子どもは、ただ笑って、
おとなは、じんわりと、しあわせが沁みて。


タイトルページに描かれる、ぴたっとくっつき合うふたりは、
お話の最後には、お互いいたわり合って家にむかうやさしい表情の後ろ姿に。

おだやかな会話や、くすくす笑いが、聞こえてきそう・・・

・      ・      ・

この絵本、わたしたちの結婚式の、
友だち用の引き出物の、ひとつ。

最初っから、わたしは、こんなにしおらしい奥さんじゃなかったけどね。


ユックリとジョジョニ


この広い世界で、だれかと出会う、ということが
奇跡みたいだっていう風にも考えられるけど、
わたしは、この絵本みたいに、
とても自然なことだと思うほうが、うれしいです。



荒井良二 作 ほるぷ出版 1470円


ユックリは、森に住んでいる男の子。
プーバ・トリロリ・・アコーディオンをひいて、歌も得意。

ジョジョニは、町に住んでいる女の子。
クルリ・クル・・ダンスが得意。

プーバ・トロリ
クルリ・クル
ふと気がつくと、ふたりは、一緒におどっていました。

うたいながら、おどりながら、
町の人にあたたかく迎えられ、そして送られ、
いつのまにか・・・


すばらしくおだやかで、満ち足りた毎日の中で
誰かと出会うこと。

ゆっくりとじょじょに、こころがいつも変化していること。

どの屋根の上にも月がのぼって、
明日がやってくること。

たぶん、また、会えること。

それは、きっと
歌うように、おどるように、自然なこと。

・     ・     ・

そう、信じられる今日に、感謝します。



おふとんのくにのこびとたち


めったに風邪をひかない子だったので、
風邪は、ひそかな憧れでした。

いちど、4年生か5年生のとき、めずらしく熱をだし、
ぼーっとしたあたまでトイレにいって
100人のこびとがトイレ掃除をしているのを、見たことがあります。

正確には、見た場面は覚えていないのだけど、
すごくびっくりして、家族に助けを求めたことを
よーく覚えているのです。

それ以来、熱とこびとはセットで、
いい歳をしたおとなになった今でも、熱がでると
トイレのドアをあけるときには、淡い期待を寄せてしまいます。

この絵本を読んでからは、なおさら・・・



おちのりこ 作 でくねいく 絵
偕成社 1470円


ひさこちゃんは、お熱があって
今日はおとなしく寝ていなければなりません。

ずっとベッドで眠っているのは、すこしたいくつ。

おふとんを指でつまんで、
お山をつくって遊んでいると・・・


おふとんの山から、ちいさな声がきこえてきます。

あれ?

いつのまにか、おふとんに作った山が、雪山になって、
ちいさな人たちが、たのしそうにスキーをしているのです!

山のふもとを見ると、丸太小屋が点々と並ぶ小さな村があって、
村人のこびとたちは、遊んだり、雪かきをしたり、焚火を囲んだり
みんなそれぞれ、たのしそうに生活を営んでいるようです。

やがて、村の広場にあつまって、みんなそろってごはんのじかん。

その、あまりのたのしげようすに
ひさこちゃんがうふふって笑ったら、鼻息で吹雪がおきてしまい、
こびとたちは、やっと、ひさこちゃんに気がつきました。

そして、ひさこちゃんがお熱だとわかると、
おじいちゃん先生の指揮のもと、みんなで力を合わせて
なにやら、大掛かりな装置を、作りはじめましたよ・・・


文字はほとんどなく、
寝ているひさこちゃんから見たままの光景が
コマ割で描かれる絵本です。

アラリヤナー
スカラガッチャ スカラガッチャ
ワッシ ワッシ ヒヨメケレ

不思議なことばを話す、気のいいこびとたちが
手が届くくらい近くにいて、そのゆかいな熱気で、本の中はほっかほか。

数えきれないくらいの、たくさんのこびとが、
生きて、動いて、話しているのだから、それはそれはにぎやかです。

コマのふちまで手書きの丁寧さや、
すみずみまでの気配りとあそび心がうれしい。

巻末に、かけぶとん文庫所蔵の
あの装置の製法の手引書もついているんですよ。

・     ・     ・

風邪が流行っています。

どうぞ、お気をつけ下さいませ。

ベスとベラ


春のおとなりが、いちばん寒いなんて・・・

もう、あとすこしだけ先にみえるはずの春を待つあいだ、
閉ざされた季節にだけみえる世界を
もうすこしだけ、堪能しましょうね。

ね、もう、あとすこしだけ。



アイリーン・ハース 作 たがきょうこ 訳
福音館書店 1155円


さむい、さむい、冬の日の午後のことです。

空も景色も灰色がかった、
さむい午後。

そとのお庭で、ひとりでお人形あそびをしていたベスは、
いっしょにあそぶ、ともだちがほしいなあ・・・と、思っていました。

人形とふたりで、ささやかなパーティーをひらこうとしたとき、
空から、パラン!と、ことりが落ちてきました。

ことりは、ベラといいました。

南の国への旅のしたくで、素敵なものをたくさんつめていた
ベラのちいさな旅行カバンからは、
色とりどりの美しいものが、次々にでてきます。

テーブルクロスにぴったりの大きなショール
お茶のはいったポット、
きれいなうつわに
焼きたてホカホカの丸いパン・・・

たのしいおしゃべりに、湯気のたつおいしいたべもの。

そして、まるで雪の精みたいに
次々にあらわれる、かわったものたちも加わって、
さあ、つめたくて、あたたかい
雪の中のパーティーのはじまりです。

・     ・     ・

雪のつもる、うすぐらい午後。

ベスのほかは、みんな、きっと
あたたかで明るい、おうちの中にいるのです。

ずっと後になって、季節がかわったときに、
あれは夢だったのかな・・・と思うような
ちょっと不思議なことが起こるのって、
たいていそんなときなんですよね。

あたらしい出会いのあふれる春を待つあいだに起きた、
鮮やかな夢みたいな、できごとのおはなしです。

クリスマス人形のねがい


もしわたしがねがいごとをしなかったら、どうなっていたかしら。

                  ー 本文より



ルーマー・ゴッテン 文 バーバラ・クーニー 絵
掛川恭子 訳 岩波書店 2100円


これは、願いごとのおはなしです。

孤児のアイビーは、どこかにきっといるはずの
あたたかく自分を迎え入れてくれるおばあちゃんの家を目指して
孤児院を抜け出し、見知らぬ街におりたちます。

同じ頃、その街のおもちゃやさんでは、
クリスマス人形のホリーが
自分の「クリスマスの女の子」が迎えにきて、
その手でだっこしてくれるのを、待っています。


雪の舞い、日の暮れる中、
あたたかな窓のあかりをながめながら
身寄りのない街をさまようアイビー。

とうとう閉店時間をむかえて、いじわるなおもちゃのいる
店内に残ってしまったホリー。

おもちゃやの見習いの少年。

子どものいないおまわりさんの夫婦・・・


クリスマスイブの1日。

起こる、ひとつひとつの出来事が、
ふたりの願いごとがかなうときにむけて
1歩1歩進んでいきます。

ときどき、じゃまがはいっても、
それさえも、幸せな瞬間をむかえるための
橋となるくらいでしか、ありません。

これは、願いごとのお話ですが、
ただ、願いがかなう、奇跡みたいなお話では、ありません。

与えられた状況をひっくり返すのは、じぶん次第!
と思える、元気のでるお話です。

明るく、前向きに、一生懸命に。

小さなアイビーが、願いをひとときも忘れずに、
1歩をふみだしたように。
人形のホリーが、強く強く、祈ったように。


・     ・     ・


行動すること、準備をすること、続けること。

願いごとをかなえるために、
必要なことは、いくつもあるかもしれません。

でも、絶対に、かかせないことは、ひとつだけ
それは、「ねがいごとをする」ということ。

すべては、そこからはじまります。


マーガレットとクリスマスのおくりもの


ものがたりには、いつも、発端があります。

小さな種だった出来事が
ゆっくりとふくらみ、
やがて土から顔をだすように。

目に見える部分だけ語られるものがたりの、
土の中の世界がプロローグです。


マーガレットは、サンタクロースにあこがれる女の子。

クリスマスが近づくと、森や湖で
かわいい木の実やきれいな葉っぱをあつめて、
丁寧に包んで、近所の人に、おくりものをします。

でも、この時期のおとなたちは、
とてもいそがしく、あまりかまってくれません。

マーガレットは、思います。

わたしが、ほんもののサンタクロースだったら・・・


そんな、プロローグで幕があける、ものがたり。


植田真 作 あかね書房 1575円


クリスマスの前の朝。

留守番中のマーガレットのもとを、
ふしぎなお客が訪ねてきます。

その、ちいさなくるみ割り人形は、
マーガレットを、サンタクロースとしてむかえにきたと、
言うのです。

最初こそ、半信半疑だったマーガレットも、
トナカイのかわりの大きな鳥たちの背中に乗るころには
すっかり、わくわくしてきました。

サンタクロースとはすこしちがうプレゼントを
少しちがう相手へ。

よろこばれるよろこび、広がる光景の美しさに満たされ、
すべてのプレゼントを配り終わると、ラッパの音が、鳴りひびき・・・


白く、どこまでも広い、空気の澄みわたった、作者独特の世界。

プロローグでかけられた魔法は、
  めくっても、めくってもとけず、
         ものがたりのさいごー

すばらしくあたたかな、ささやかなミラクルまで、運んでいってくれます。


・     ・     ・


小さな子が、
ひろったどんぐりを、お母さんに、さしだします。

自分のできることで、
相手をよろこばせたい、という気持ちは、
生まれたときから、そなわっているのでしょうか。

たどたどしい文字や絵で、手紙を書いたり
学校でならった工作をしたり。

おとなになっても、かわりません。

ならいたての手仕事で、オーナメントを作ったり、
こものを編んだり、カードを切ったり
時間と相談しながら、できることを、探します。

お店で選んだものも、すこしずつふえ、
クリスマスのすこし前は、
部屋のすみの机の上に、ずらりとならびます。

この1年の、ありがとうの、かたち。

よろこんでもらいたい、
という気持ちを、クリスマスは、かなえてくれます。